お腹が張り、食欲があるのに食べられないという症状が出たのが5月の下旬頃。

さすがに普通ではないなと病院へ行き、検査を重ねたのが7月。

原因が卵巣がんだとわかって、抗がん剤治療を始めたのが8月。

思い返せば、昨年(2014年)の今頃は先のことなど考えられない状態だった。

体調も思わしくないにもかかわらず非常にアタフタとした毎日を過ごし、

気持ちもざわざわと落ち着かなかった。

穏やかな気持ちでいるには、病気のことをより詳しく知った方が良いのか。

それとも何も知らずに、起こることをその都度受け入れていった方が良いのか。

病気のことを知れば知るほど怖くなり不安になってしまうという現実。

でも、病気に立ち向かっていくには相手を知らなくちゃダメだし。。。

その当時の私はかなり迷っていた。

家族は、インターネットや本でかなり卵巣がんについて調べているようで

会話の端々に耳慣れない専門用語が出てくるようになっていた。

私よりもかなりの情報通になっているようだ。

私の姉は、まずは知識からという人なので、それはもうかなり勉強をしてくれていて

卵巣がんに関することならだいたいわかっていて、私が疑問に思うことには

だいたい答えられるようになっていた。

ある日、そんな姉が気が向いたら読んでみるといいよとお奨めの本を届けてくれた。

その中の一冊が『がんから始まる』という岸本葉子さんというエッセイストの本。

届けてくれた本を見て、私は姉に尋ねた。

『この人まだ生きてる?』

結局私は死ぬのが怖いのだ。

痛みも怖い。

思っているよりもずっと冷静な自分をこれまで感じていたのだけれど

逃れられない現実にやっぱり怯えていた。

『大丈夫だよ。生きてるよ。』

姉のその言葉を聞いても、しばらくの間届けられた本は開かれることなくテーブルの上に
置きっぱなしになっていた。

病気の症状も、薬の効き目も人それぞれ。

参考書になんてなるはずがない。

その人が完治していれば自分も治るのか?

その人が自分より悪ければ安心するのか?

屈折した感情が湧いてくる。

ずいぶんやさぐれてしまったものだ。

きっかけは忘れてしまったが、しばらく置きっぱなしにしてあった本をある日なんとなく読み始めた。

その本は、実に淡々と書かれていた。

決してお涙ちょうだいの闘病記ではなかったし、悲惨な状況が綴られている訳でもなかった。

一気に読み終えた後の私は、屈折した感情もどこかへ消えてスッキリしていた。

今後どのように、がんと共存していけば良いのかという手引きになりました。

この本のレビューで、私が共感するものがありました。

 

40歳の一人暮らしの女性が、ある日がんを宣告される-
そういうと壮絶な命の手記となりそうですが、
著者岸本葉子は感情的になることなく、しなやか、かつたくましく、
その事実に向かおうとする姿勢が読む者を逆に勇気づける、そんな作品です。
ただ受け入れるのでもなく、ただ拒否するのでもない。
がんに支配されず、あくまでも自分の人生の主体性を保とうとする姿勢は、
がんに限らず災難や苦難と向き合う時の大切なものを教えてくれる気がします。

 

死ぬも生きるも潔く凜とした人でありたい。

私に覚悟を決めさせてくれた一冊です。


がんから始まる (文春文庫)

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